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柱のない建物、柱だらけの建物

2022.05.17

こんにちは、ラジコンの竹中です。

ゴールデンウィークから1週間経ちますが、いかがお過ごしでしょうか?

ゴールデンウィークはほぼ休みはなかったのですが、1日だけ車を借りて前から気になっていた美術館へ行ってきました。

軽井沢にある千住博美術館です。

この美術館は世界的建築家であるSANAA(サナア)の西沢立衛氏が設計した美術館なのですが、従来の美術館の概念を覆すような、明るくて開放的な美術館でした。

床は周囲の地形のように緩やかにうねっていて所々に中庭が点在しています。

その上、決まった順序もないためまるで森の中を自由に散策しているかのように鑑賞することが出来ます。

軽井沢という立地の特性と建築を見事に融合させた建物なのですが、展示物に直射日光が当たっていたので少し心配になりましたが、良しということでしょうね、、、

撮影禁止のため写真を載せられないので、購入したポストカードの写真載せておきます。

 SANAAといえば、自然と建築の関係性を融和した作品で知られる建築家ユニットなのですが、その特徴がよく現れたとても興味深い作品でした。私が一番初めにSANAAの建築を知ったのは、2004年に金沢21世紀美術館に行った時でした。こちらも美術館の概念が変わる?とても素晴らしい建物なので、行ったことがない人は是非一度行ってみてください!

 この作品でSANAAのおおらかな建築に改めて目覚めた私は、後日神奈川工科大学に出向いていました。

 目的は、石上純也氏設計の神奈川工科大学KAIT工房と広場です。石上純也氏はSANAA出身の建築家なのですが、まだ一度もその設計した建物を見たことがありませんでした。

SANAA出身ということもあり作風に通じるところがあるので、勉強のために見学にいきました。

大学に着いた時にはあいにくの雨、、守衛室で受付を済ませていざ校内へ。

地中に半分埋まるような形で見えてきたのが、KAIT広場です。実はこの建物、大きさが約80m×50mもある平屋建てなのですが、内部に柱が一本もありません。。

所々に屋根に穴が開いていて、そこから光が漏れてきます。

床は緩やかにウェーブを描いていて、見る視点によって風景が変わるのが面白いです。

床は透水性に優れた素材で出来ているので、雨はそのまま一中へ浸透していきます。

普段はヨガマットなどの貸し出しもあるそうで、学生の溜まり場になっているようですね。

柱が全く無い大空間なんて体感したことがなかったので、とても不思議な感覚に包まれました。詳しくはこちらにも公開されていますので、立ち寄ってみてください!

その後は、この広場の真向かいにある工房へ。

こちらは前述の広場に対して、無数の柱が林立する平屋建ての建物です。

無数の柱がまるで森の中の木のようです。

柱の密度は場所によって違っていて密度が高いところは収納場所に、低いところは作業スペースになっていたりと、密度の違いが場の特性になっています。

 建物自体は単なるワンルームの空間ですが、柱の密度の違いで場に性格を持たせているところが新しい考え方ですね。

 この建物が出来たのが、今から約15年も前だというので驚きです!

柱は地震による揺れを軽減するために、それぞれ大きさも角度も違います。配置から大きさ、角度に至るまで綿密に構造計算されて配置されているのでこれまた驚きですね。

これもまた、建築を少しでも自然に近づけようとする石神氏の意図が感じられる素晴らしい建物でした!

自然と建物の関係性は建築家の課題のようにも感じられます。

これを機に私も一層そのあり方について考えていこうと思います。

では!