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アニッシュ・カプーア in 「松川ボックス」

2024.02.13

こんにちは!
ラジコンの竹中です。
年が明け、早くも2月の中旬に差し掛かろうとしている今日この頃ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
 私は相変わらず事務所にこもって図面を色々検討しています。

そうはいってもたまには何か刺激が欲しい、、、
ということで、先日西早稲田まで足を運び、故宮脇檀の傑作「松川ボックス」の見学に行ってきました。

 住宅の設計に携わっている方であれば誰もが一度は目にしたことがある名著「宮脇檀の住宅設計のノウハウ」。こちらの表紙を飾っているのが「松川ボックス」です。
 1979年に建築学会作品賞を安藤忠雄の「住吉の長屋」と同時に受賞し、コンクリート製のボックス内部に木組の住宅を嵌め込むという宮脇檀の傑作ですが、これまで一般公開されることはありませんでした。
 そんな建物が今回一般公開されるということで、時間の合間を縫って見学に行ってきました。

建物自体は1期、2期、3期と段階を経て増築をし、1期目に建てられた向かって左側の建物が学会賞を受賞し、今回内部公開されています。(2期と3期の増築棟は現在も人が住まわれているため見学は出来ませんでした。)
 道路から一段高いところにある赤い塀は当初から若干の変更はあったものの当時の面影を残しており、住宅と街との境界を強調させています。

建物の外観は街に対して壁で閉ざされ、道路から内部の様子を窺い知ることはできません。
経年劣化してざらついたコンクリートの斜め屋根の表情が一層歴史を感じさせてくれます。
赤い塀の向こうは3棟の建物共通の中庭が広がっていますが今回は入れませんでした。


 内部に入ると外観からは想像も出来ないくらい開放的な空間が広がっており、木の表情が落ち着いた、柔らかい印象をもたらしています。

中庭(赤い塀の向こうに中庭が広がっていますが、住居棟のプライバシーのため目隠しされています。に向かって開く背の低い開口が、2階までの吹き抜けをより高く感じさせてくれます。
ここは元々居間があったところで、その奥に和室が用意されています。

外部に対しては閉じられていますが、トップライトからの光が反射することで、柔らかい光が空間を満たしています。和室のブルーの襖が印象的でした!

コンクリートの外枠に木造で木組みした構造が嵌め込まれているのがよく分かります。木の組み方もすごく特徴的!

2階の和室も壁が天井まで伸びていないのでトップライトの光が差し込み、とても明るくなっています。

個人的には2階の階段を上がりきった逆方向にあるこじんまりとした読書スペースが好みでした!

斜めの壁が安堵感を強調させてくれます。

コンクリートの寒々しさが全くなく、暖かで柔らかな雰囲気で、気が付けば2時間も滞在していました。

このブログを読んでくださっている方にも、きっとお気に入りの場所などがあると思います。
 私はまさしくこの家がそうでした。
そんな場所が自分の家だとしたら、それはとても幸せなことですよね!

 ハウスメーカーに設計を依頼する場合と、建築家に依頼する場合の大きな違いは、生活をより豊かなものにしたいのか、そうでないのか、だと思います。
 デザインやオーダーメイドは付加価値的な要素が強いので、作るためにはお金も掛かります。しかもそれは必ずしも必要であるわけではありません。
 必要でないものにお金を掛けるという意味においては、それは人生において「趣味」を持つことに等しいのではないかと思います。
 趣味とは、人生において必ず必要なものではありませんが、その人の人生をより豊かにしてくれるとても大切なものでデザインと似ているのではないかと思っています。

「趣味」にお金をかけるように、「デザイン」にもお金を掛け、生活をより豊かなものにしてみませんか?
 そのお手伝いを一緒に出来れば私は幸せです。
では!