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隣人トラブルにご注意を

2023.01.16

こんにちは!ラジコンの竹中です。

いつもご訪問頂きましてありがとうございます。

話は去年の末に戻るのですが、川崎の家の引き渡しが無事終了しました。

電気等設備の取り扱いを工務店から説明してもらい、引き渡し書類の説明をして頂きました。

お客様もご満足のご様子。

この引き渡しの瞬間のために長い期間仕事をしているといっても過言ではありません。笑顔で「ありがとうございました」といってもらえれば、それまでの苦労も吹っ飛びますね。

近々竣工写真もUP予定ですので、そちらもお楽しみに!

さて、本日のお題は「土地に関すること」を少しお話ししたいと思います!

これから新しく土地を購入される方も、相続で引き継いだ方、持ち家の立て替えを考えられている方全ての方に共通することですが、土地は意外に落とし穴が多い部分で下手すると隣家の方とトラブルにもなりかねない部分なので、建物の設計の前にあらかじめしっかりと調査することをお勧め致します。

ここでは、主に隣家とトラブルになりそうなことを中心にご紹介しようと思います!

⬛︎ ①囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)

聞き慣れない言葉かと思いますが、これは古い土地にまれにあるもので、ある敷地が他の敷地に囲まれて公道に接することが出来ない(袋地と言います)場合、袋地から公道に向かって出入りが出来るように、その周りの敷地(囲繞地と言います)の一部を借りた場合に発生する袋地の方がもつことの出来る通行の権利のことを指します。

この「囲繞地通行権」は他人の土地を強制的に利用する最終手段ですが、土地が古い場合、暗黙の了解や互いの善意のみで成り立っているケースも多いので、注意が必要です。土地売買の際に重要事項説明の中で説明されている場合が多いので問題ないですが、敷地を見に行って明らかに発生している可能性がありかつ重要事項説明もされない場合は特に注意が必要です。

 例えばおじいちゃんおばあちゃんが亡くなった後に土地を相続された場合は書類などで確認することも出来ないケースもございますので、自分の土地の一部に分からない細い通路が見当たる場合は要注意です。敷地境界線を示す鋲や杭がしっかりと残っている場合は判別しやすいのですが、古い土地の場合は境界を示すものが存在しない場合も多いので、その場合は公図や測量図などで境界がどこなのかを調べ、万が一自分の敷地内に袋地への通路があることが分かれば、袋地の方と協議をする必要がありますので、ご注意ください。ちなみに私も過去にこのような疑いのある土地に建物を設計したことがありますが、その時は、測量図で明らかに隣の敷地のものだったことが判明したことがありました。

(囲繞地通行権が発生している可能性のある通路。杭や鋲もないため境界が曖昧。)
(入り口は別にあり、裏口通路であることが判明。)
 

もし、こういったことが判明した場合、袋地の方にとっては現行法では建物の建て替えや土地の売買が難しいので、囲繞地の方に相談し道路に通ずる最低2m幅分の土地を売って頂いて新築可能な土地にするということも考えられるので、今後のご参考としていただければと思います。

⬛︎ ②竹木切除権(ちくぼくせつじょけん)

こちらはなんとなく想像がつくかと思います。

隣の土地の木の枝が自分の敷地内に伸びてきている場合、その枝は勝手に切ることは出来ませんが、隣人にその枝を切って頂くように請求が出来る権利を指します。

自分の敷地内に伸びてきているので勝手に切ってもいいのでは?と思いがちですが、勝手に切ると最悪の場合「不法行為」として損害賠償請求をされかねないので勝手に切らないようにしてください。ちなみに法律上では地中から伸びてきている「根」に関しては権利上は隣人の許可なく切ることは可能です。しかし、だからと言って何事も「勝手に」は避けたいものですね。良好な関係を築くためにも、根を切ってしまうと明らかに木がダメになってしまうことが想像される場合は、隣家の方にその旨を相談の上対処して頂くことをお勧め致します。

⬛︎ ③承水義務(しょうすいぎむ)

 これは自分の敷地の中に流れてくる自然の水の流れ(特に雨水)を妨げてはならないという土地の所有者に課せられた義務を指します。例えば、隣の敷地の庭から流れてきた水が自分の敷地内を通じて流れている場合などです。ここで注意が必要なのは、流れてもいいのは「自然の水の流れ」なので、例えば雨水の樋を意図的に隣の敷地に流すことは民法により禁止(民放第218条)されていますので、注意が必要です。

 しかし、雨水やその他の排水を直接道路に流すことが難しい場合は、隣地伝いに排水してもいいとされていますが、あくまでも困難な場合である場合のみなので、土の中を通しての排水だからと言って、他人の敷地内に排水することはNGなので気をつけてください。

 これも、古い敷地などを相続された場合にまれにあることで、過去に隣家とのお互いの信頼関係のみで隣家の排水が自分の敷地内にされている場合などがございますので注意が必要です。

 過去にお客様の建物を建て替えた際、既存の排水管が隣の敷地の排水枡を利用していたことがありましたが、新しく管を引き直し既存の排水管は使用しないようにしたことがございました。旗竿などの敷地の場合、管の長さも長く全てやり変える場合それなりにコストも掛かるので、万が一そのような場合はお金の掛からない方法を考えることも大切ですので、専門の方とよく考えて対策を練ってみてはと思います。

点線部分が境界を超えて隣地側の汚水枡に排水されていた例。
敷地の真ん中に新たに排水管を引き直しました。斜めに交差するのが既設の排水管。

これらの内容は土地の売買の際に説明があるのが大半だと思うのでそこまで心配する必要はありませんが、いざ計画が始まって、こんなはずではなかったということも稀にございます。土地ご購入の際にはぜひこれらのことも頭の片隅に置いておいてもらえればと思います。

くれぐれもトラブルのない建築計画を心掛けてください。