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建築設計の仕事について Part.2

2023.03.28

こんにちは、ラジコンの竹中です。

いつもご訪問いただきまして、ありがとうございます。

最近は連日天気が悪く、ジメジメした日が続きますが皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

先週の春分の日にはなんとか桜を見にいくことが出来ましたが、ここ数日の雨で桜が散っていないか心配です。東京では今年、開花が平年より9日も早いみたいなので散るのも早そうですね。

さて、本日のお題は前回からの続きで、建築設計の仕事について書いていこうと思います。

 設計事務所の仕事で共感されにくい点の一つとして「設計監理料」というものがあります。「設計監理料」は「設計料」と「監理料」に分けられ、設計事務所に依頼した場合ほぼ必ず掛かる費用となります。

 通常、ハウスメーカーや工務店に工事をお願いする場合、設計監理料は別の名目で工事費の中に含まれているので、表向きは工事費以外に別途費用が掛かっていないように見受けられます。

 しかし設計事務所に設計を依頼した場合は、工事会社と設計会社が違うので「工事費」以外に「設計監理料」を設計会社に支払う必要が出てきます。その場合、工事会社が出してくる見積もりの中には当然、「設計監理料」は含まれていないことになります。

 ハウスメーカーや工務店(設計施工一括)と競合する場合、工事費とは別に設計監理料が取られると思われがちなので、設計事務所はどうしても不利な立場に立たされるわけですね。

 しかしこれは、ハウスメーカーや工務店の出してくる見積もりの中の設計監理料を分けて頂いている訳ですから、余計なお金を支払っているわけではない事をまずご理解頂ければと思います。

設計料を請負工事と一括で契約するか、別で契約するか、大きな違いはその部分のみで、掛かる費用は同じということをご理解頂ければ幸いです。

少し話が逸れてしまいましたが、プレゼンテーションに挑み、お客様からの支持を得て見事契約!いよいよ本格的に設計がスタートします。

間取りが決まってからは、より細かな打ち合わせをお客様と進めていきます。

実際にお客様との打ち合わせで使用した図面。風呂を中から4面見た時の図面。扉や棚の位置関係を決めていく。
確認内容を図面にも表記しておく。
実際にお客様との打ち合わせで使用した電気図。コンセントや換気扇、照明の位置などが記載されている。

 お客様にとっては、壁や床の仕様や棚の位置、コンセントの数などを決めてもらっているという感じにしか映らないと思いますが、その裏で我々は並行して、とても重要な仕事を進めています。

それは、図面を実際に建物として成立させていくための仕事となります。この場ではそれを「裏作業」と言いましょう。

いくらお客様に気に入ってもらえたとしても、それが現実性を帯びない限り図面はただのお絵描きに過ぎません。

そのため、この裏作業が、図面を現実的に成立させるための最も重要な作業になるという訳です。

この作業は主に「構造設計」と「設備設計」に分けられ同時進行で進めていきます。

 あえて人に例えると、間取りがその人の「性格や個性」とするならば、構造設計は「骨格」、設備設計は「内臓」的な機能となります。

 いくら性格が素敵でも、骨や内臓が無いと人として成立しないのと同じように、住宅も「間取り」だけでは成立し得ず、構造や設備が整って初めて成立し得るということなので、この裏作業がいかに重要な作業なのか理解して頂けるかと思います。

 では具体的に「構造設計」の進め方についてお話を進めていきましょう。

 まず初めにその建物が建つ地盤を調査することから始まります。建物が構造的に成立したとしても、地盤がしっかりしていないと沈下や傾きといった事態を引き起こします。

 そうならないように、地盤の強度を調べ、建物が建っても問題ない強度なのか?強度が足りない場合、どのようにして地盤の強度を上げるのか?といったことから検討を進めていきます。

 地盤調査は大きく「ボーリング試験」と、「スウェーデン式サウンディング試験」の2つに分けられます。調査内容のより詳しい説明はここでは割愛させていただきますが、この試験の目的はN値という数値を調べることです。N値は地盤の強度を数字で表したもので、大きくなるほど強度が増します。

 イレギュラーなこともありますが、通常はこのN値が粘土層の場合、5以上確保できる深さの所を基礎にすることで、建物が安定すると言われています。

この物件では、深さ50cmの所でN値が5以上確保出来ているので、50cm以深を基礎の底として設計をしました。

実際の断面図。建物の基礎底が地面から60cm掘られた部分にある事がわかる。

この支持地盤をどの深さにするか、具体的な基礎の大きさなどコンクリートの強度などは構造設計事務所と共同で進める場合が多く、構造設計者の意見を仰ぎながら進めていきます。

構造設計者側から受領した地盤調査の内容。試験や調査内容など細かく指示されている。

これらの試験を踏まえて、万が一地盤が弱い場合は、地盤改良や杭等の検討が必要になってきます。

ベタ基礎の下に柱状改良体を計画し、支持地盤まで建物を到達させている事例。

 この物件は建物の基礎の深さに対して支持地盤が地面から2.5m下に計画が必要であったため、構造設計者と協議した結果、コンクリートを直径60cmの太さで支持地盤まで流し込み、その上に建物を建てるよう計画がなされました。

構造設計者から指示された改良範囲を指示する図面
地盤改良会社から送られてきた地盤改良を指示する図面。これにより基礎の計画が可能となる。

このように、場所や地域によって地盤の強弱は変わってきますので、地盤調査を行うことは構造設計の第一歩としてとても重要な作業となってきます。これらの基礎の設計は、建築基準法でも試験内容や強度が細かく設定されているので、いかに重要かお分かりになられるかと思います。

建物の設計はまず基礎から!

何事においても通用する、重要なアプローチですね。

かなり割愛してお話を進めましたのでより細かい内容がお知りになりたい方はメールや電話等でも受け付けておりますので、ご連絡いただければと思います。

次回はいよいよ建物の構造設計のお話を進めていきたいと思います。

では!