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歴史に学ぶ

2024.11.14

こんにちは、ラジコンの竹中です!
ブログの更新がだいぶんご無沙汰となってしまいました。
反省しなきゃですね。。

さて、本日は先日イタリアまで研修旅行に行ってきましたので、その様子を少しご紹介しようと思います。

1日目はミラノ フィウミチーノ空港から電車でローマ入りしました。
ローマと言えば見るべき建物や場所がたくさんあるのですが、全て回っていたら旅程的に時間が足りないということで、ある程度厳選して見て回ることにしました。

ローマに着いて一番初めに訪れたのがサン・ピエトロ大聖堂です。宿から近かったので徒歩ですぐに行くことが出来ました。

サンピエトロ大聖堂の前には半円を二つ重ねたように列柱群が囲っているのですが、その列柱のスケールはまさに人智を超えた創造物。柱は全て一本の石から削りだされていて、4列計372本建っています。

当時の技術力の高さが窺い知れる圧巻の光景です。
しかもこの列柱は広場のある地点から見ると柱が重なって見えます。

この印が柱が重なって見えるポイント。

普通に柱の方を見ていると奥の柱が手前の柱とずれて見え、部分的に壁のように見えるのですが、ポイント地点から見ると奥の柱が重なって1本の柱に見えて奥が開けたように見えます。
 この広場を設計したベルニーニは、閉じながらも開かれた世界というものを表現したかったのではないかと思います。(あくまで想像ですが、、)

しかも毎週水曜日はこの広場ではローマ法王の教皇公開謁見が行われます。
たまたま見学した次の日が水曜日で生のローマ法王をこの目で見ることが出来ました!

 聖堂内部はもう「圧巻」の一言です!
 身廊の天井の一番高いところで46mもあります。これはビル11階建てに相当するのでどれほど巨大か分かるかと思います。豪華絢爛、端正で調和の取れた構成はとてもシンプルです。

 このサン・ピエトロ大聖堂はルネサンス建築の代表的な建物で、その特徴はゴシック建築によく見られていたステンドグラスなどの高窓、装飾を抑えた鳥籠のような線的で軽快な構造といった特徴がなくなり、単純な構造、綿密で優美な装飾が多く見られます。
 これは、ステンドグラスによって神を身近に感じその存在を実感する体験の場として機能していたゴシック建築の神中心の価値観から脱し、人間らしさと個性や文化などを尊重した人間中心の考え方に時代が移行したことによります。
 そのため、ここにはたくさんの芸術家が集い、優美な表現や彫刻などで個々の技術力、個性が表現されているのです。この建物を体験してその表現力に脱帽しました。

さて、そんなサン・ピエトロ大聖堂を後にして次に向かったのはパンテオンです。

43mの円柱と同寸法の高さの内部空間を持つこの建物は、円形の壁と半球型のドーム、10本の柱で構成された柱廊から成り立っています。1列8本からなる柱廊はその上に巨大な石の塊でできた三角形のペディメントと大きな梁を支えています。

 どうやったらこんな重たい石を柱の上に乗っけることが出来たのか、想像がつきません、、、
屋根は重量を減らすため木造で作られています。すごい!

 内部は真ん中に直径9mの穴が空いています。もちろんガラスなんか入っていないので、雨が降れば室内に雨が降ってきます。

下部の壁は上部の半球型の屋根を支えるために6mもの厚みがあり、その厚みを利用して部分的に祭壇が彫り込まれています。
 パンテオンの起源は紀元前25年に建設されたのですがその後火事で消失。その後紀元後2世紀に再建され、現在残っているのはこの時代のものです。1900年以上もこの地に残り続けていることを考えると、当時の技術力がどれほど偉大だったか想像がつきますよね。
 しかし当時の技術力を持ってしてもこの巨大な半球型の構造体を成立させるのは大変難しく、成立させるために3つの工夫が施されていたと考えられています。
 まず1つ目は球型の足元から頂部に渡って壁の厚さを6mから1.6mへと薄くすることでコンクリートの量を減らし半球型の重量を減らしたこと。
 2つ目はコンクリートに軽石を混ぜたこと。上部に行くほど軽石の量を増やし重量の軽減を実現しました。
 そして最後の3つ目は見上げた時の内面に広がる四角状の装飾です。これは球型の天井に対して凹みを作ることで装飾性を表現するとともにコンクリートの重量を減らすという2つの意味が込められています。装飾性と重量軽減。さすがの一言です。

 この構造の理念を初めて知った時、こんな大昔の時代に現代にも通ずる構造の理念が生まれていたことに脱帽しました、、
 歴史から学ぶことの大切さを痛感した建物でした。

そして最後にローマで訪れたのはボッロミー二の傑作として名高いサン・カルロ・アッレ・クアトロ・フォンターネ聖堂です。とても長い名前ですが、建築士の試験にも出るような有名な建物です。

ローマの道を歩いていると突如現れる湾曲した外観。
クイリナレ通りとクアットロ・フォンターネ通りの交差点に位置するその建物がサン・カルロ・アッレ・クアトロ・フォンターネ聖堂です。現地に着いたら車がビュンビュン行き交う交差点に道路をはみ出て写真を撮る人の群れでたくさん。この建物がどれほど有名なのか改めて認識しました。

 まず初めに、この聖堂は上記で紹介した建物と建っている場所が全く異なります。上記の2つの建物は広場に面して堂々と建てられていますが、この建物は道路沿いの狭い敷地に窮屈そうに建てられています。敷地が限られていたためかなり難しい設計だったのではないかと思います。

 この建物はバロック建築の象徴とも言える建物で、ルネサンス建築の端正な佇まいから一転、波打つように湾曲した外観、凹凸の表現、うねる曲面、過剰な装飾、動的な表現などが特徴的です。建物の内部も非常に複雑で、中心性を表現しつつも全体としては非対照で壁も斜めや湾曲した表現が多く見られます。

 とても狭い建物と思いきや、中を入ってみると意外と広く感じます。これは平面に対して非常に高い屋根で、高窓からの光と相まって上へと抜けるような感覚が生まれるからです。
 見上げた天井も非常に複雑で、八角形と六角形と十字形を組み合わせたデザイン。複数のアーチが隙間なく重なり合いその間に装飾を施しています。写真には写っていませんが、柱が十字形ではなく湾曲した壁に沿って建っているので、中心から全ての祭壇が見通すことができるようになっています。これは狭い敷地を活かして有効に祭壇を配置させるためのテクニックなのではないか。
 すごいことをやってのけています!

窓から降り注ぐ無数の光によって模様に様々な表情が生まれ、幻想的で美しい空間を作り出しています。狭い敷地にも関わらずこれほど豊かな空間を作ることが出来るとは流石の一言に尽きますね。
 だからこそあえてここで己の力の全てを表現したかったのではないか。
内からほとばしる意欲や感情がこの建物の動的な表現として現れている、そんな人間味に溢れた素晴らしい建物でした。

以上がローマで体験した代表的な建築物になります。もちろんスペイン広場やトレビの泉にも行きましたが、そこでの話はここでは割愛しますね!

では!